宝塚温泉場は、温泉場創設者の一人で分銅家の創業者である小佐治豊三郎が記した「宝塚温泉発見以来の顚末」の記述から、開業日が明治20年5月5日とされている場合が多く見受けられますが、つい最近出くわした神戸又新日報(こうべゆうしんにっぽう)の記事と宝塚温泉開業広告により、開浴日が明治20年5月8日、開業式明治20年6月11日挙行と判定することが出来ました。

1.「宝塚温泉開業広告」の記載
  5月 8日(日・先勝であるようです)  入浴始め
  6月11日(土・大安であるようです)  開業式
宝塚温泉開業広告
「宝塚温泉開業広告」
(平成14年12月宝塚市編集・発行「宝塚温泉物語」より)











2.「神戸又新日報」明治20年5月11日付記事
   5月 8日(日・先勝であるようです)  開浴
   6月11日(土・大安であるようです)  開業式施行予定
  記事は、
   「宝塚温泉は去る8日に開浴した。その日の浴客は中等72名、下等116名、売上は
    4円なり。上等室は6月11日開業式に合わせて開く予定である。」と記載されており、
    開浴、開業式施行予定日は「宝塚温泉開業広告」記載の日と同一である。
  温泉場開場(明治20年5月又新日報)
「明治20年5月11日付 神戸又新日報」

「宝塚温泉開浴  豫ねても記せし如く同温泉は去八日に開浴せしが其日の浴客は
 中等七十二名下等百十六名此湯金高は四圓なりしとぞ上等室は来六月十一日
 開業式施行の時を以て開くなりと」と記載
※神戸又新日報(こうべゆうしんにっぽう)は、神戸市の「五州社」が発行した明治
  17年5月19日創刊の日刊新聞紙。昭和14年6月30日戦時下の新聞統制により
  19131号をもって休刊となった。
             



3.明治44年小佐治豊三郎著「宝塚温泉発見以来の顚末」の記述
   5月5日(木・仏滅であるようです)  開業式挙行
   小佐治豊三郎が記した「宝塚温泉発見以来の顚末」には、「明治二十年五月五日を卜し
   開業式を挙行し」と記載

(結論)
  開浴日、開業式は下記の日と断定できました。
   5月 8日(日・先勝)  入浴始め
   6月11日(土・大安)  開業式


 (理由)
 1.小佐治豊三郎が「宝塚温泉発見以来の顚末」において記した開業式・明治20年5月5日
   は仏滅に当たり、仏滅におめでたい開業式を挙行することはあり得ない。小佐治豊三郎
   の「宝塚温泉発見以来の顚末」は明治44年付で温泉場開場から24年経過していること
   から、記述、記憶が曖昧になっている可能性もある。
 2.「宝塚温泉開業広告」と神戸又新日報の記事は、開浴日と開業式挙行日が一致しており、
   また、神戸又新日報の記事は入浴開始日とされる明治20年5月8日直後の5月11日付の
   記事であり、情報に誤りはないと考えられる。記事から中等室、下等室は5月8日に開浴
   したが、上等室は開浴が遅れ、開業式の6月11日に合わせて開浴すると詳細な説明があり、
   記事の信憑性も高いと思われる。                                                                                                               
                                                        以 上